第1章 本丸へ
突然登場したこんのすけに驚くことなく、陸奥はさっさと着いていってしまった。
『あ、ちょ!待って!』
我に返って慌てて追いかける。
着いた先は本丸の正面玄関だった。
入り口の横には腰ぐらいまでの高さの円盤があった。
『おお~何これ!』
好奇心に負けて円盤をさわさわと弄っていると、こんのすけに前足でバシッと手をはたかれた。
『いった!』
「これは審神者様にはお使い頂けません故、弄らないようお願い致します」
『…はい』
「がはは!主、ここはわしに任せちょけ!」
こんのすけが説明を初めて数分後、終わったらしく、陸奥がこちらを向いてニッと笑った。
「ほんたら主、行ってきゆう」
『行ってらっしゃい!』
陸奥が円盤を操作すると、正門が光りだした。
ガコッと何かが外れる音と共に正門がゆっくりと開いていく。
陸奥は正門に向かって一直線に走り抜け、光に中へと消えていった。
この後、私は軽い気持ちで陸奥を送り出したこと酷く後悔することになるとは露知らず、本丸内の探索へと戻ろうとした。がしかし、
「お待ち下さい審神者様。案内したい場所が御座います」
『うん。分かった』
はたかれた手の痛みの恨みはしかと心に刻んだぞこの狐め!
こんのすけの尻尾の毛を毟りたい衝動を抑えて着いていくと、摩訶不思議な場所に連れてこられた。
「ここは鍛刀部屋で御座います」
『うん。で、何する部屋なのかな?』
「刀剣男子一人だけでは十分な戦力とは言えません。ですので、増やす必要があります。方法は主に2つ。1つは鍛刀。もう1つは出陣先での入手で御座います。今からは鍛刀をして戦力を増やして頂きます」
あれからレクチャーを受け、二振りの鍛刀に成功した。
資材を入れた際に、釜の上必要時間が表示されたが、この時間は短刀ができるらしい。
『ん?』
「どうかしましたか?」
『いや、良く分からないけどなんか変な感じがする』
上手く言葉で言い表せないが、何かが身体に訴えてくるような感じだ。
「そろそろ出陣した刀剣男子が帰還する時間でしょう。一旦正門へ戻りましょう」
『へーい』
正門へとのんびり歩いていたが、玄関へと近づくにつれて何か異臭を漂っていた。
匂いの正体を確認すべく足を速めると、陸奥が見るも無残な姿で玄関の入り口で倒れていた。
漂っていたのは血の匂いだった。