第1章 本丸へ
『それはどうも…へへへ』
「ほんで、ここは一体何処なんじゃ?」
『本丸らしいよ』
「ほう、なるほど!それははよう中を見て回りたいのう!主、はやく行こう!」
『う、うん』
なんというか、この刀剣男士は犬みたいだ。
見ていて気持ちのいい笑顔に裏表のない態度、会って数分だが、惚れた。
『よし、行こう』
私は壁のない方、つまり部屋のドアであろう壁の前にいるのだが、開け方が分からない。
私が住んでいた2205年のドアは全て自動で、人が近付けば自動で開く。
…なので、それを期待して進んだ。
『んぶっ』
「ぶっ!何をしちゅーやか主!」
私の期待を裏切った扉は自動で開く事はなかった。
お陰で顔面から衝突し、陸奥守に笑われてしまった。
『なぜ開かぬのだ、扉よ!』
「?主、もしかして障子戸の開け方が分からないんか?」
『分かりませんお手上げです』
「そんなの簡単ちや。ここに指を掛けて、横に引けばええんじゃ」
陸奥守がやってみせると、扉はいとも簡単に開いた。
『おお!有難う陸奥!あ、陸奥って呼んでも良い?』
「構わんぜよ!」
無事に部屋から出た私達の目に、美しい日本庭園が映し出された。
現代ではもう実際に見る事は叶わない、暖かな陽射しに照らされた趣のある淡い春色の庭。
『おお、綺麗…』
「そうじゃな」
しばらく庭を見つめた後、そのまま縁側を2人並んで歩いた。
「しっかしここはしょうまっこと広いのう」
『迷子になりそうだね…』
私は歩きながらある事を思った。
ここ、約200年前に有名だったジロリ作品のかぐや姫のお屋敷に似てる気がする。
流石にあれ程大きくはないが。
「お!ここは厨じゃな!どれどれ」
『くりや?くりやって?…何ここ』
厨が何なのか分からず、陸奥の後に着いて中に入ってみたものの、実際に見ても何をする場所なのか検討もつかない。
一通り中を見て回ったが、何を何に使うのか分からないので面白くなく、私は飽きてしまった。
適当な場所に座って棚を漁る陸奥の後姿をボーっと眺めていると、
「審神者様!時間遡行軍です!出陣のご準備を!」
『は!?』
「戦なぁ…必要なら、仕方ないがのぉ…」
「わたくしに着いて着て下さいませ」