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本丸生活、波乱万丈なり

第3章 写しへの接し方


「餌となる干草も必要で御座いましょう。今回は特別に料金は結構です」

『ほんとに!?ありがとうございます!あ、それとご飯を食べるためのテーブルも欲しいです』

「ご用意致します」

店の表で待っていると、店主は荷車を引いた馬を連れてきてくれた。
テーブルとさっき買った物を荷車に載せてもらい、初対面の馬と町をぶらぶら歩くことにした。

『君可愛いね。名前は何がいいかな?』

用意してくれた馬は真っ白な綺麗な子だった。
雪みたいに白い子だから――

『白雪でいいよね』

初めて見る馬にそっと手を添えると、応えるように鼻を私の掌に押し付けた。

『気に入ってくれたのかな』

荷車と馬を放置するわけにもいかないので、荷車に腰掛けて道の隅で皆が戻ってくるのを待っていた。

「あ!いたいた!あーるじー!」

道の向かい側から五虎退を連れた鯰尾が声を掛けてきた。
鯰尾は両腕で何かを抱えていた。

「錦鯉を買ったんですよ」

「ま、まだ小さいですけど、頑張って大きく育てます」

2人は桶に被せてあった布を外して中身をみせてくれた。
その中には色とりどりの魚が泳いでいた。

『これが錦鯉か。綺麗ねぇ』

これは池に放つのが楽しみだ。
3人で錦鯉を眺めていると他の皆も戻って来た。
その手には何もなかったので、おそらく欲しい物が見つからなかったのだろう。

「大砲が欲しかったんじゃが、どこにもうっちょらんかった…」

しょんぼりしている陸奥には申し訳ないが、そんな物騒な物が売られててたまるか!

『まあ…もしこの先何か欲しい物ができれば自由に来ていいから。出かける前には一言だけ声を掛けてね』

「「「はーい!」」」

「おう!」

「……分かった」

錦鯉を荷車に載せ、陸奥が白雪をの手綱を引いて歩きだした。
皆もその後に続く。

「にしても立派な馬じゃのう」

『名前は白い雪で白雪だよ』

「……まんまじゃないですか」

確かに鯰尾の言う通りだけど!そうだけれども!

「まあ、覚えやすいからいいんじゃないか」

山姥切、君良い奴じゃないか。
それから他愛もない会話をしながら本丸への帰路についた。

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