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本丸生活、波乱万丈なり

第3章 写しへの接し方


集まった5人に、店主と娘は浴衣や作務衣を手に取り身体に合うものを選んでいく。

「写しの俺に、こんなものは必要ない」

『うだうだ言わないの。ずっとその格好でいるのは不便でしょ』

山姥切とは正反対に、他の4人は楽しそうに服を着せてもらっていた。
山姥切と陸奥は浴衣を、今剣、五虎退、鯰尾は作務衣を選び終わり、次は作業着だ。
山姥切以外の4人は好きなのを選ぶだろうから、山姥切に付いて選ぶのを手伝おうと思った。
山姥切を見ると、無言で何かを見つめていた。
後ろから覗き込むと、その手には1つのジャージが握られていた。

『え、それにするの?』

「……駄目なのか?」

『気に入ったのなら構わないけど……』

まさか山姥切が選んだのが、芋ジャージだとは。
まあ、美青年だから似合うだろう。
なんだか納得できないでいる自分がいるが、本人が自分で選んだのなら文句は言えない。
他の4人も選び終わったので会計を済ませる。
お勘定をするとき、お勘定場の横に面白いものをみつけた。

『これはなんですか?』

「これは名札掛といって、出陣、遠征、内番に誰が当たっているのか一目で分かる代物で御座います」

『おお~これも下さい!』

「毎度あり」

『あ、まだ町を見て回りたいので、少しの間買い物を預かって頂けますか?』

「もちろん構いません」

買った物を万屋に預け、ここからは自由行動をすることにした。

『はいこれ。好きなものを買ってね』

万屋での買い物で小判はこの世で存在する一番高価なお金であり、お釣ももらったのでお金は他にも種類が存在するのが分かった。
一枚あたりの価値も分かったので、それぞれに数枚渡す。
ケチというわけではない。
食料など本丸生活に必要なものも買わなくてはいけないのだ。
小判を渡すと瞳を輝かせてそれぞれ行きたい店へ向かった。

『そういえば、馬当番っていうのがあったから、馬買わなきゃいけないよね……万屋に行こう』

どこで馬が買えるのか見当が付かないのでとりあえず万屋へ戻ることにした。

『あの…こちらに馬とかって売ってたりしませんか?』

「もちろんご用意できます。今連れて帰りますか?」

『え!?もう連れて帰れるの?なら連れて帰ろうかな。ついでに荷車とかもあったりしますか?』

「御座います」

あるんかい!
私は万屋の万能さに恐れおののいた。
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