第3章 写しへの接し方
『おおー!』
町にたどり着いて驚いた。
歴史の教科書で見た江戸時代それとそっくりだったのだ。
町行く人々も日本の伝統衣装である着物を身につけていた。
まるでタイムスリップをしたみたいだ。
他の皆も興奮した様子で町を見渡していた。
自由行動にする前に皆で買いに行きたい物がある。
『皆それぞれ見て回りたいと思うけど、まずは一緒に買いたい物があるからちょっと付き合ってね。最初は服屋に行きたいの、探すの手伝って』
5人は頷くと、建ち並ぶ店の中から目的の店を探し始めた。
「あ!あれじゃないですか?なんか呉服屋って感じがします」
鯰尾に言われて中を覗いてみた。
確かに服は売っているが、着物ばかりで私が欲しい物は売ってなさそうだった。
『確かに服は売ってるけどああいうのが欲しいんじゃないだよなぁ…』
「服が欲しいが呉服屋にはない、か。そんなら、万屋へ行ってみたらどうじゃ?」
『万屋?』
「なんでも売っちゅーき、欲しいもんもきっと見つかるぜよ」
『そっか!じゃあさっそく行って見よう』
そうして私達一行は万屋を探し当てた。
店の中に入った瞬間、何か不思議な感じがした。
そこには、明らかに町並みの時代とは似つかわしくない物が売られていた。
そう、私が求めていたジャージ類もその1つだ。
刀剣男士達はそれぞれ店内を物色しに行ってしまい、1人でいた私に店主が話しかけてきた。
「これはこれは、審神者様ではありませんか。何をお買い求めで?」
『え』
この店主が放った言葉に私は驚きを隠せないでいる。
『どうして……』
「この万屋は審神者様の本丸生活をサポートするためのものです。ご所望の物は可能な限りご用意させて頂きます」
『そうなんだ!じゃあ、あの子達に合うパジャマとジャージみたいな、日中快適に過ごせる服が欲しいの』
「承知致しました」
そう言って店主は店の奥に引っ込んだ。
数分後、お手伝いらしき娘と共に、両腕にいっぱいの衣類を抱えて戻ってきた。
娘は他の商品が並んでいた台にスペースを作り、店主と共に衣類を並べた。
「寝間着には浴衣が良いでしょう。小さい子らにはこちらの作務衣はいかがかな。日中過ごす衣服はお好きなのをお選び下さい」
そう言って店主は浴衣、作務衣、数種類のジャージを用意してくれた。
『全員しゅーごー!』