第3章 写しへの接し方
「鯰尾兄さん!」
「五虎退!」
『え、兄さんってまさか…』
刀剣にもそういう家族的なものが存在するのか。びっくり。
「俺達、刀派が同じ粟田口なんですよ」
『そうなんだ!』
刀にも兄弟がいる。素敵じゃないか。
そういえば鯰尾は藤四郎はたくさんいると言っていたっけ。
同じ名前を持っているということは兄弟なのだろう。
できれば巡りあわせてあげたい。
顔合わせも終わり、私は楽しみにしていた今日の予定を皆に告げた。
『出陣から帰ったばかりで申し訳ないんだけど、皆で町に買い物へ行かない?』
その言葉に彼らは瞳を輝かせた。無論、山姥切もだ。
山姥切よ、布で顔を隠していても私には分かるのだよ。
それから6人揃って正門へと集まった。
『こんな大きな門、どうやってあけるんだろう…』
悩んだ末に手を添えたら、いとも簡単に開いた。自動で。
なんて親切な門なんだ。
門を潜り抜けると、遠くに町らしきものが見えた。
あれが町か。
「おお!あれが町か!楽しみじゃな」
「はやくいきましょー!」
陸奥と今剣は待ちきれんといわんばかりに先頭を歩いていく。
一体どんな町なのか楽しみだな。
先頭を歩く2人に送れないように、私達も後を追った。