第3章 写しへの接し方
山姥切の後に次いで広間に入ると、鯰尾が虎達と戯れていた。
山姥切はテーブルに皿を並べて、私は虎達のご飯を並べた。
それぞれ席につき、2人は食べ始めた。
『………』
2人は器用に棒を使って食べている。
五虎退に名称を教えってもらったが思い出せない。
「………なんだ」
自分の記憶力の悪さを呪っていたはずだが、どうやら無意識に正面に座っていた山姥切を睨んでしまっていたようだ。
『ごめんなさいなんでもありません』
鯰尾に使い方を教えてもらおうと思ったが、瞳をキラキラさせて食べている姿を見たら頼みづらくなってしまった。
困り果てていると、ふと横でご飯を食べている虎達が目に入った。
こ、これだ!
バンッとテーブルに手をつくと、白米が入った器に口を近づけた。
「お、おい…何をしている…」
「どうしちゃったんですか?主」
虎達と同じように食べればあの棒を使わなくて済む。
そう思っていたが、2人の視線が痛い。止めた方がいいのだろうか。
「何をしている!?俺が写しだからなのか…」
「どうして箸を使わないんですか?」
口元にご飯粒を付けた鯰尾が当然の疑問を口にした。
そして私も当然の答えを口にした。
『使い方が分からないからです』
そうだった!箸だ!
『箸箸箸箸箸箸箸箸箸箸』
良し。覚えた。
「怖いですよ!」
『ごめんごめん』
「そうならそうと言えばいいだろう」
これはもしかして教えてくれるってことだろうか。
「まずはこうやって指に挟んで――」
「――あ、その指は動かしちゃダメですよ」
『こう…かな』
そうして箸をものにするための猛特訓が始まった。
―――1時間後…
『は、箸が使えるっ…見て!使えてるよ!箸!』
「ああ、そうだな」
「良かったですね」
2人の猛特訓のお陰で晴れて箸が使えるようになり、私達は昼餉を食べることにした。冷めた昼餉を。
昼餉を食べ終え、ちょうど後片付けが終わった頃に出陣部隊が帰ってきた。
「主ー!今帰ったぜよ!」
「ただいまー!」
「ただいま帰りました」
3人の声を聞いてダッシュで玄関まで走った。
『お帰りなさい!怪我はしてない?』
「わしらはどこも怪我しちょらん!安心せい」
『なら良かった。そうだ、2人刀剣男士が増えたから仲良くしてあげてね』
「おお新入りか!」