第1章 本丸へ
『これはどう使うの?』
「これはお箸といって、こういう風に持つんですよ」
隣に座った五虎退は貧乏くじを引いてしまったと思う。
私のせいでまだお寿司を食べることができないでいたからだ。
真面目な性格なのだろう。一生懸命に箸の使い方を教えてくれている。
『五虎退、ありがとう。お陰でどうにかなりそうだよ』
「いえ、とんでもないです。あるじさまのお役に立てたのなら嬉しいです」
なんて良い子だ。
五虎退も食べ始めたことだし、私はさっそく覚えた箸で寿司を掴んで……掴ん…で……掴………めない!
お寿司はすぐそこなのに!まるで目に見えない壁が私の箸を阻んでいるようだ。
どうしよう!もう五虎退に教えてなんて言えないよ!あんな幸せそうに食べてるんだもの!あの笑顔守るって誓ったばかりなのに!
どうしようか悩んでいると、向かい側に座っていた陸奥が嘆いている私に気がついたようだ。
「どうかしたのか主?ほがな顔して」
『い、いや~どれにしようか迷ってるんだよね~』
「そうかそうか!どれ、わしがあんしのために寿司を取っちゃる」
『ありがとう!』
運良く陸奥に寿司を取ってもらうことができ、私もようやく寿司が食べられそうだ。
自分の前にあるならなんとかなりそうだ。
かなり怪しい箸の持ち方だが、どうにか寿司を持ち上げることに成功できた。
恐る恐る口へ運ぶと、初めての味に衝撃を受けた
『んんー!!すっごく美味しいよこれ!』
私の反応に3人は微笑んだ。
美味しいお寿司を食べ終わり、お茶を飲んで食後の会話を楽しんでいた。
「この後はどうしますか?」
『ん~もう外も暗いし、お風呂にでも入って寝たいかな。お風呂あるのかな?』
「ありますよ!すっごくおおきかったです!ろてんぶろもありましたよ」
「露天風呂か!それは入らんわけにゃいかんのう!」
「楽しみです!お風呂」
露天風呂か、それは楽しみだ。