第1章 本丸へ
顔合わせが終わったところで、私達は食事をするために部屋へ移動することにした。
厨にはいくつか出入り口があり、1つは私達がはいってきた廊下からの入り口、もう1つは外に繋がっている引戸、そしてもうひとつは、私達が入った入り口の向かい側にある廊下だ。
陸奥はその廊下を、お寿司の盆を片手に進む。
五虎退は人数分の皿と棒が乗ったお盆を。
今剣は急須と湯呑みが乗ったお盆を運んだ。
そして私は五虎退の虎達様の餌を運んだ。
辿り着いたのは大きな広間だった。
「わー!とっても広いですね!」
「ここでおにごっこができちゃいますね!」
「がはは!この本丸はげにまっこと広いのう!」
『本当に…びっくりだよ』
丁度テーブルが1つぽつんとあり、3人はそこにそれぞれ運んできたものを置いた。
突っ立って見ているのも申し訳ないが、急須と湯呑みの存在しか知らない私はかえって邪魔になると思い、子虎達の餌を並べ終わった後は隅で大人しくしていた。
「僕、座布団取ってきます!」
「どこにあるのか知っちゅーがか?」
「はい!さっき今剣さんと探検しているときに色々見て回ったので」
「それは助かる!」
「あ、ぼくもてつだいます!」
今剣も五虎退の後を追って広間の奥へと走って行った。
『ごめんね、なにも手伝えなくて。何がなんなのか良く分からなくて…』
「気にするな主!こうして人の身体をくれて、寿司を食わせてもらえるだけで、わしは嬉しいぜよ」
『それなら良かった』
そんな話をしていると、五虎退と今剣が座布団を持って戻ってきた。
「これはあるじさまのですよね!」
そう言って今剣が差し出したのは私の腰を支えてくれる座椅子だった。
『ここにもあったんだ』
「はい!ひとつだけあったのであるじさまのかなって!」
『ありがとう。これがないと私の腰がしんでしまうところだった。3人とも、準備ありがとね』
3人に礼を言うと、嬉しそうに笑った。
なんて素敵な笑顔なのだろう。
この笑顔を私は絶対に守ると誓った。
それぞれ目を輝かせながら席に付き陸奥の掛け声で手を合わせた。
「いただきます!」
『「「いただきます!」」』
どんな意味があるのか分からないが、とりあえず真似をした。
そして皆と同じように細い日本の棒を手に取った