第1章 本丸へ
陸奥と2人で厨に来た私は、冷蔵庫を見つけて、やっとここが何をする場所なのか分かった。
食料なら冷蔵庫に入っているはずなのに、なぜか陸奥は棚を漁っている。
『陸奥、食べ物ならこの中だよ。多分』
「ほお、その変わった箱にか?」
『うん。…あれ』
冷蔵庫を開けると、その中には、物は入っていたが私の知る食料ではなかった。
『なんだろう…これ』
小さな長方形の色鮮やかな何かが乗ったお盆を見つめた。
『綺麗…』
「おおー!!寿司じゃな!」
『すし?すしって何?』
「寿司を知らんがか?」
『うん。そもそもこういう形の食べ物自体知らないよ』
きっと私が生きている時代と陸奥が生きている時代があまりに違うからだろう、彼にとっての当たり前が私にとってはそうではない。
『私が暮らしていた場所では、これぐらいのカプセルが食事なんだよ』
「兵糧丸みたいなものか?」
『う~ん…多分』
私は人差し指と親指で、1cm弱の空間を作った。
兵糧丸がなんなのかは知らないが、2205年では、カプセルで全ての栄養を補う。
料理という行為はとうの昔に無くなったのだ。
私にとっての食事はカプセルだから、開けたときにカプセルではなく代わりに色鮮やかな物が入っていたことには正直驚いた。
どの物も本やテレビでした見たことのない物だった。
冷蔵庫の中に見入ってしまった私に、陸奥は野菜や魚という物の名前を教えてくれた。
一通り教えてもらった頃、パタパタと軽快な足音が聞こえた。
「あるじさまーおなかがすきました!」
「ぼ、僕もです…」
『あ、2人とも丁度良い所に。そろそろご飯の時間にしようと思ってたんだ。』
「わーい!」
「ご飯楽しみです」
「おんしらが新入りか。わしは陸奥守吉行、よろしゅう!」
「ぼくは今剣!よろしくです!」
「五虎退と申します。よ、よろしくお願いします!」