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【イケメン戦国】短編集✲*゚

第9章 【石田三成】待てば甘露の日和あり






「なんて事だ、三成!

身に余りある栄誉だぞ、有難く受け取れ!」


「…お前、変な所で無欲だからね。

褒美なんて考えても無かったんでしょ、どうせ」




家康と秀吉さんのせっつく様な声の中。
三成くんは何も言わず、ちらり、と視線を漂わせ。
一瞬こちらを見た後、また信長様に視線を戻した。



じっと視線を交わらせたままの二人…何と言うんだろう、と私も何処かわくわくとした面持ちで。
三成くんの言葉を待つけれど、何も言わないまま。




焦れたように信長様はため息をつき、含む様な笑みを浮かべる――




「無欲どころか、貪欲になったものよ。

…もう良い、連れて下がれ。好きにしろ」


「…有難うございます!」




私を含め、皆が驚いた様な目を向ける中。
三成くんはさっと私の手をとる――




「へっ!?あ、あのっ…!?」
「参りましょう、千花様」


「で、でも片付けは…宴も、準備とかっ」


「下がれ、好きにしろ、と信長様が仰いました。

これが、私の欲しい物ですので」







その笑顔と言葉に、何も言えなくなり。
手を引かれるままに、歩き出す。
皆の囃し立てる声に、かぁっと身が熱くなる…





ふと、隣に歩く三成くんの顔を見上げてみると。
皆の声など気にも止めず、満面の笑みを浮かべている。
堂々と、自分らしく、真っ直ぐで。
少しは彼を見習わなきゃ、なんてぼんやり思う――







「三成くんが勝ってくれて、良かった」
「千花様が、見守って下さったお陰です」



「…すっごく、格好よかった」






私の言葉に、三成くんが珍しく顔を真っ赤に染めるものだから。
二人して顔を赤く染める羽目になってしまったのを、まだ沸き立つ広場に居るままの誰も、気付くことは無く。






耐え切れず二人して笑ってしまったのも――私達二人だけが、知っているのだった。



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