第28章 IF遙か3〜復活~戯言編1(薬師視点・人識)
「ん?なんだ、どうした…………まさかナンパか?」
「違います、大きな誤解と勘違いです」
「そんなに強く否定しなくてもいいじゃねぇか」
あ、ちょっと拗ねたような顔と声がまたかわいい……って違う、萌えはちょっと休憩していてください。
話が進みません。
「すみません。あの、申し訳ないのですが、ケータイやスマホをお持ちでしたら少しお借りしてもいいですか?もしくは、どこか近くのコンビニの場所とかを教えていただけたら助かります」
「なんで?」
「知り合いに連絡を取りたいのですが、生憎と手ぶらで出てきてしまいまして……ここがどの辺りなのかもわからないので困っていたんです」
「あんた、迷子かよ」
「……その通りですけど、はっきり言われると居た堪れない気分になりますね」
「かははっ、マジかよ、それで俺に出会うとか!あんた本当に有るようで無いんだな、いろんなものが」
そのいろんな有るものと無いものの具体的な内容が知りたいです。
おかしそうに頬と唇を歪ませる少年は、私の手を自分の腕からやんわり外すと、懐から取り出したものをこちらへよこして。
「ほら、早く連絡しろよ」
「はいっ、ありがとうございます!」
ああ、地獄に仏。これで、なんとかなりそうです。
唯一覚えて……覚えさせられた数字の羅列を、間違わないようひとつひとつ丁寧に入力していく。
最後に通話を確認してから、そっと耳元に当てて、聞こえてきたのは。
「―――おかけになった番号は、現在使われておりません」
「……え?」
ある意味とても聞きなれた音声に、番号を間違えてしまったかと再びかけなおす。
しかし二回、三回とやり直しても、その番号の先に繋がることはなく。
……え、なんで、どうして、繋がらないんですか?
覚えさせられた後、何度もかけたことがあるのだから、番号が間違っているなんてことはあり得ない……筈。
これは当たっていてほしくはないことだけど、万が一を考え確認することにした。
「あのー……」
「出なかったのか?」
「ええと、はい、まぁ、似たようなものです…………少しだけ、また聞きたいことがあるのですが」
「要求が多いな。けど、今は気分がいいから何でもとは言わないが聞いてやるぜ」