第28章 IF遙か3〜復活~戯言編1(薬師視点・人識)
なんだか毒気とついでに恐怖も抜けてしまい、足の痛みも引いたので立ち上がって対峙する。
あ、私より身長低いです。かなり小柄です。
闇に慣れた目が、こと細かに相手の姿を確認して、その異様なファッションセンスに首を傾げてしまった。
とてもよく整った、かっこいいというよりは可愛らしい感じの顔……右頬には絵?シール?刺青?が大きく存在していて。
はっきりとした色味はわからないけれど、ぴょこんとアホ毛を揺らし、少し長めで後ろに結ばれている白っぽい髪はどこかまだらで。
右耳には三連のピアスを、左耳には…………あの、ストラップに見えるんですけど?ソレ。
「すみません、ちょっとお聞きしたいのですが」
「あ?なんだよ」
「それ、左耳につけてらっしゃるのって、もしかしたらストラップじゃありませんか?」
「もしかしなくてもストラップだ」
「え、どうやってつけたんです?」
「普通に紐を穴へ通してつけたに決まってんだろ?おかしなこと聞くんだな」
いやいやいや、おかしいのは少年の感覚だと思います。
普通、耳につけるのはピアスかイヤリングか火傷したときの指先って決まっているじゃないですか。
ピアスホールにストラップ通してつけて、ぶらんぶらん揺らしている人なんて今まで見たことも聞いたこともありませんよ。
ええ、今まではね!
もしかして、最近の流行りなんでしょうか?
ハルちゃんも京子ちゃんも真面目な子でしたから、そういった激しいお洒落はしなかっただけ……とか?
クロームさんの格好とはちょっと、かなり、趣向が違いますからする筈ないとして。
うーん……流行りというものは、ときとして奇妙奇天烈変わったものがあるんですねぇ。
「よくわかりませんが、とってもお洒落さんなんですね。良い勉強になりました、ありがとうございます」
これで、何故か最近の若者ファッションにまで詳しい黒スーツの赤ん坊や中学生の皆さんに、こんなことも知らないのかと笑わ……いえ呆れ……いやいや驚かれることもありません。
にこっと笑ってお礼を言えば、きょとんと丸くした目をキラキラ輝かせ私の手をつかんできた小柄な少年。
「この良さがわかるか!あんたとは死ぬまで気が合いそうだぜ」
「はあ、それは……どうも」