第25章 IF遙か3〜復活編6(薬師視点・大人??・骸)
……これはいったい、どういう状況なのでしょうか?
白いもくもくとした煙に覆われたと思ったら、知らない場所にいて。
素早く駆け寄ってきた、長身の黒スーツの人から抱きしめられました。
「あのー…すみません、もしもし?」
「なに」
声をかけたら、短い返事の後に少し体を離され。
見上げたその顔に絶句した。
……………かっこいい。なんですかこの美青年。
短めの黒い髪、つり上がった涼しい切れ長の瞳、スッと通った鼻筋に形のよい薄い唇。
あれ?なんだか最近、似たような顔を見た気が…。
「なに呆けてるの、すごい間抜け面」
「初対面で失礼すぎませんか。というか、どちら様でしょう?」
こんな美形、一度見たら忘れない筈ですし。
うん、会ったことない、たぶん。
「初対面じゃないんだけど」
「え?」
「まさか、わからないとか言わないよね」
「え…」
綺麗な笑みを浮かべているのに、うすら寒く感じるのは何故でしょうか。
この威圧感、背筋を駆け抜ける恐怖、本当に知っている気が………あ。
わかった、雲雀さんに似ているんだ。
いつも不機嫌そうで、凶悪な笑顔しか見たことないし、気に入らなかったり暇だとすぐに人を咬み殺そうとしてくる。
あの、なんともいえない緊張感…そしてなによりこの見た目、すくすく成長したらこんな感じになるのではと。
………いや、まさか、そんなこと…でも、あの世界ならあり得るんですよねぇえ。
「あのー、もしかして……雲雀さん、ですか?」
「恭弥」
「は?」
「ここでの君は、恭弥さんっていつも呼んでる」
いや待って、脳の理解が追いつきません。
「ここって?」
「きみから見て、10年後の世界」