第24章 IF遙か3〜復活編5(薬師視点・ヒバード・骸・雲雀)
後ろ向きという、非常に歩きづらい体勢でズルズル引きずられること数歩。
珍しく私が転ぶ間もなく、なぜかピタリとその動きは止まり。
「…遅かったようですね」
「どうして、君がこんなところに居るの」
「へ?」
肌を刺すような、ぴりぴりとした空気を感じて慌てて声のした方を振り返る。
と、そこには黒い学ランを羽織った、つり上がり気味の切れ長な瞳をもった黒髪の少年がいた。
誰ですか?この美少年。やばい、めちゃくちゃ好みだ。
女子高生時代に出会っていたら、完全に惚れていたかもしれません。
「お久しぶりです、雲雀恭弥。今日ここで会ったのは偶然ですよ、ちょっと野暮用でして」
「骸さんっ、その美少年とお知り合いなんですか!?」
「……なに、ソレ」
初対面でいきなり、ソレ呼ばわりされました。
でも、かっこいいから許す!
「…なんですか、夢姫。まさか、こんなのがタイプだとでも?」
「だったら、どうなんですか。人の好みにケチつけないでください」
ふわふわ茶髪や天然ものの金髪もいいけれど、やっぱり黒髪美人さんっていいですよね。
垂れ目も嫌いじゃありませんけど、どちらかというとキリッとした眼差しに惹かれます。
まだまだ顔つきは幼さを残していますが、そこがまた可愛くもありますし、将来有望ですし。
…って、なんですかその変な顔?さてはまた勝手に心を読みましたね。
「読むまでもありません。さっきから心の呟きが駄々漏れているんですよ、変態発言はやめてください」
思わず口を手のひらで押さえると、ほんのり涎で湿った。
おや、これは失礼。
気をつけます。
でも、変態に変態って言われたくありません。