第23章 IF遙か3〜復活編4(薬師視点・骸)
「………骸、さん…?」
「ここ最近のあなたは弱い…弱すぎて、つまらないんですよ」
「………はい?」
一瞬、この体勢もわけがわかりませんけれど、何を言われているのか理解できませんでした。
つまらないって…女性が泣いているのを見て弱いからつまらないって…
言うに事欠いてつまらないって、なんですかーー!?
「クフフ…何です、その顔は?随分と不服そうですね。もしかして僕が、あなたを心配したとでも思ったんですか?ハッ、勘違いも甚だしいですね……冗談じゃない、どうして僕が?」
今、鼻で笑いやがりましたよ。
見ましたか?あの心の底から憎たらしいという感情が溢れ出してきそうな顔!!
いくら温厚な薬師さまと評判の私でも、頭にカッツィーンときてしまいました。
「ふふふふ、それはどうも申し訳ございませんでした。あまりにも骸さんが、私の様子にお詳しいようでしたので…つい、うっかりストーカーになってしまうほどに心配してくださったのかと、勘違いを。お許しください」
さっきまでのシリアスな雰囲気はどこへやら…。
でも、言ってやりましたよ謙信様!!
にっこり営業スマイルは、もちろん忘れずに。
してやったり!なんて、浮かれたのがいけなかったのか。
「…あなたは、今の状況をよく理解していないようですね…」
「…え」
次に聞こえた骸さんの声は、冷たさに不穏な空気を纏わせていて。
青と赤の両の目が…すぐ間近で、私を捉えた。
「夢姫…」
唇に…吐息が、かかって…
「…………っ!?」
何をされているのか、認識して驚きに目を見開く。
本当に、わけがわからない。
一方的な行為についていけなくて、圧し掛かっている彼の背中や腕を叩いたり衣服を引っ張ったりしているうちに、骸さんは自分からゆっくりと離れていった。
とは言っても、まだまだ充分すぎるほど近いんですけれど。
もしかして第二段とかあったりしませんよね…?なんて警戒するくらいには。