第23章 IF遙か3〜復活編4(薬師視点・骸)
くっ…このっ、力が強いですね最近の中学生は!!……って、そうでした。
この方、一般人じゃありませんでしたよ。
生きるか死ぬか、まさに『デッド!オア!アライブ!』な世界の住人でしたね。
いえ、私も一応はそのような世界で生きていたのですけれど…さすがに一介の薬師とマフィア殺しの特殊少年とでは、環境の過酷さも実力も違いすぎると言いますか。
「ク、フフ……どうしたのですか?そんなに動いて…ああ、なるほど。この体勢では不満ということですね、それでしたらオススメの」
「体勢を変えてほしいのではなく、さっさと離せってことなんですけれど」
「そんなに遠慮しなくてもいいんですよ。僕は今、珍しく機嫌が……………とても悪い」
にっこり笑顔でおっしゃってますけれど、何か、間違っておりませんかね?
「いいえ、間違いではありませんよ。機嫌が、悪いんです…」
「ま、また!勝手に心を読まないでください、変態もほどほどにしてくださいよ。というか、なぜ機嫌が悪くて私を抱きしめるんですか?実体化してまで………骸さん、あなた実はお馬鹿さんですか?」
売り言葉に買い言葉。
私と骸さんの間では大して意味のない、毎回お馴染みな言葉のやりとり。
だから、いつもの調子で遠慮なく言い返しただけなのに、彼の反応はいつもと違った。
急にゾクッと寒気が走るほど、冷たい目でこちらを見てきて…ごくり唾を飲み込む。
こんな、突然…どうして…?
「僕は…機嫌が悪い、と言ったでしょう」
「!?痛っ……」
景色が素早く流れたと思えば、背中や肩や頭に衝撃と鈍い痛みがきて…閉じた瞼を開くと、視界いっぱいを遮るほど間近にある整った顔に心臓が跳ねた。
押し倒されたと気づいたのは、それから少ししてから。