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【戦国BASARA】薬師シリーズ【その他MIX】

第23章 IF遙か3〜復活編4(薬師視点・骸)



『……よ…』



声が、聞こえる。



『………しき……よ』



懐かしい、大好きな、声が。



『わたく…の……しき……よ…』



この、声は……まさか、もしやっ…



「謙信っ、様!?」



大きな声を出して、勢いよく起き上がる。

……起き…?………私、は………。

そうか、あれは、夢…………そう、ですよね。


「ここは……あの世界では、ないのですから…………っっ…」


ぼそっと現実を呟くと、急に苦しさに襲われた。

長い間あの方から離れている哀しみや不安や寂しさが押し寄せてきて、潰されそうになる。

今、どうしているのか?

元気でおられるのか?

無事でいらっしゃるのか?

生きて……生きて、いるのだろうか…?

それは、とてつもない、恐怖。


「うっ………けん、しんっさま…!…ふっ……う……」


堪らず俯けた顔に両手をぎゅっと押しつけ、ぼろぼろ零れ出る涙も声にもかまわず。

ただ、泣き続ける。

会いたい。

会いたい。

あんなに近くにいたのに、今はもう…姿を見ることすら容易には叶わないなんて。


「っく、う、ぅ……うっ…謙信、さまっ、けんしっん、さまっ……ひっ、う、うぇえ……」


夢の中で聞こえた声に、思い出してしまった。

どんなにあの方が大切だったか、どんなに愛しかったか、思い出してしまった。

私の名を呼ぶときにだけ、少し掠れ甘やかに響く声。

優しく頭に触れてくる、ほっそりとした手。

力強く抱きしめてきた、熱い腕。

命を助けてくれた、いつでも優しく守り導いてくれた、叱ってくれた、慰めてくれた、傍にいてくれた、私を……望んでくれた。


会いたい、会いたいのです、謙信様。

お姿が見たい。

声を聞きたい。

あなたに、触れたいのですっ…。


「おや、どこのナイチンゲールでしょうか?いつまでも、うるさく鳴いているのは」

「っ…………む、くろ、さん…?」


突然、背後から響いてきた声に、ビクッと肩を揺らして振り返れば……骸さんがいた。

クロームさんの体を依り代にしたとしても、実体化するのは力を激しく消耗すると聞いていたから、これは幻の方かもしれない。
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