第22章 IF遙か3〜復活編3(薬師視点・クローム・犬・千種)
「マジマジ!?やっらー!!明日は食うぞーっ」
「…馬鹿な真似はやめなよ」
「大丈夫、なの…?」
犬さん、あなたは遠慮という言葉を覚えた方が世の為、人の為です。
千種さん、せめて「馬鹿な真似」ではなく「無理」と言ってほしかったです。
クロームさん、心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫です。
「実は、私の持っている短刀と飾りには、非常時のためにと宝石がいくつか付いているんです。けっこう価値のあるものですから、換金すればそれなりの金額になる筈ですよ」
にこやかにそう言ったら、何故か場のテンションが一気に下がった気がした。
クロームさんや千種さんどころか、あの犬さんまでもが沈静化した。
え、何ですかこの空気?
「…犬」
「…犬」
「…う……わかったびょん」
「え、なにがです?なんなんですか、いったい?」
次の瞬間。
犬さんがもの凄い勢いで、野菜や山菜を食べはじめた。
グワーッと口の中にかき込んでモグモグしていたかと思うと、音を鳴らしながらそれらをゴックン!と飲み込み、空になったお皿を突き出してきた。
「おかわりっ」
「え、ああ、はい」
「俺も」
「私も…おかわり」
次々と出されるお皿に、目を丸くしていると。
「オレ、草で腹いっぱいになっから焼肉食えねー」
「…同じく」
「わ、私も…」
本当に、なんてかわいい子たちなんでしょうか。
これで凶悪犯だと言うのだから、人間ってわからないものです。
彼らの精いっぱいの気遣いが、とても嬉しい。
けれど。
「三人とも、ありがとうございます。でもやっぱり、明日は焼肉を食べましょうね」
「だっから、いらねーって言ってんらろー!!」
「…しつこいよ」
「…高里」
「大丈夫です。宝石は何個もあるんですよ、だから一つくらいお金に換えようが肉に換えようが平気です。むしろ私の物なんですから、どうしようと私の勝手です」
それに私だって焼肉食べたいですし、一人じゃ寂しいし。
そう続けて言えば、三人もようやく納得してくれたみたいで。