第22章 IF遙か3〜復活編3(薬師視点・クローム・犬・千種)
謙信様。
私はまたもや、違う世界へと旅立ってしまいました。
可愛い女の子に出会ったと思えば、次に会ったのはマフィア嫌いの元脱獄囚な少年。
とっても危険な人物です。
髪型はパイナップルという果物にそっくりな、性格の悪い変態です。
笑い方なんて『クフフ』とか『クハハ』なんですよ?
…いえ、私も『くふふ』なんて少々怪しげに笑いをもらすこともたまにはありますけれど。ええ、たまには。
しかし彼の場合はそれが、標準装備なのです。
それだけでも十分に怪しい人ですよね、変わってますよね、私の判断基準はまともですよね?
行き場もなかったので、とりあえず第一遭遇者な女の子にくっついて、今はその危険人物の元でお世話になっている次第です…と言っても、ご本人はたまにしか現れませんが。
…どう説明すればよいのやら、不可思議な能力の持ち主のようで。
本人は身動き取れない状態でどこかにいるらしく、その女の子の体を依り代?に少しの間だけ姿を現すことが可能になるらしいのです。
実際、なにがどうなっているのかは私にもさっぱりわかりません。
でも、それで特に不都合もないのでよいと思います。
むしろ彼に居られたら居られたで、居心地が悪いので困るといいますか……。
どうも、私の固有技やBASARA技といった力に興味を持ってしまったようで。
厄介なことに、いちいち私にねっちょり付きまとってくるのです。
はっきり言って迷惑しております。
おっと、話が長くなってきてしまいましたね。
―――で。
普段は居ないその危険人物を慕う、仲間だという二人の少年と可愛い女の子が一人。
私も入れて、四人で仲良く、黒曜ランドという名の廃墟で暮らしております。
「よし、できました!凪さん、千種さんを呼んできてもらえますか?」
「…夢姫」
「はい?」
「凪じゃなくて、クローム」
「う…すみません、まだその呼び名に慣れなくて……クロームさん、お願いします」
「わかった」