第17章 遙か3な世界へ・伍(薬師視点・白黒神子・弁慶・ヒノエ)
温泉、温泉、と心の中で思いつつ。
白龍くんと一緒に、お部屋の中でゴロゴロしているうちに日は暮れて。
只今、まったり入浴中です。
「ふはぁー・・・・・・いやぁ、気持ちいいですねぇ・・・生き返ります」
「あははっ、夢姫さんってばお年寄りみたいな言い方!」
「望美さん・・・いずれ、あなたも似たようなことを言うようになりますよ」
「えぇっ、そんなこと言わないでくださいよ!朔〜」
「これは逃れられない事実です。くふふ・・・ねぇ、朔さん?」
「うふふ・・・・・・なんとも言えないけれど。でも、本当に気持ちいいわね」
月明かりの下で、ぷるつやお肌の美少女二人と入浴とか。
なんて贅沢なんでしょうか。
こんな中で、いちいち自分の思考がエロ親父みたいだとか言動が年寄りくさいだとか、気にしてなんかいられませんて。
八葉の方々はきっと今頃、私を羨んでいるに違いありません。
望美さんと朔さんの入浴シーンに興味をもたないだなんて、むしろそっちの方がおかしいです。
不健全です。
「あー、もう私あがる!あつーい」
「そうね・・・これ以上は、のぼせそうだわ」
「もう、あがってしまうんですか?」
「だって、もう無理ですよ〜。夢姫さんも、いい加減にしないと逆上せちゃいますよ」
「うーん・・・でも、あともう少しだけ」
「では、夢姫殿。お先に失礼するわね」
「はい、また後で」
―――なんて、数分後。
私は自分の選択を後悔してしまうことになる。
「そろそろ上がりますか・・・あ、え・・・・・・」
お湯からあがった瞬間、頭がクラッときて。
目の前が砂嵐になり、やがて真っ暗闇の中へと誘われ。
気がつけば宿の中の静かな一室にて、仰向けに寝転んでおりました。
「・・・・・・・・・・・・あれ?」
「・・・夢姫さん」
「あ・・・」
「気がつきましたか、よかった・・・」
まだぼんやりする頭を、声の聞こえた方へゆっくり動かすと。
いつもながら暑苦しい格好をした弁慶さんが、安心したように息を吐いたのが見えた。