第15章 遥か3な世界へ・参(薬師視点・白龍)
怨霊に対抗するべく、封印や鎮魂ができる特殊な力をもった、龍神の神子という見目麗しい女性が二人。
白龍、黒龍と対にわかれて存在しまして。
さらには神子を守る八葉という、八人…現在、一人足りませんが…のこれまた見目の良い男性と白龍くんという不思議な子どもと共に怨霊退治をしながら、あちらこちらを旅しているのです。
詳しい事情はとてつもなく複雑で、果てしなく長くなってしまうので省きますが。
私が最初に遭遇したその方も八葉の一人だったらしく…その縁で、どこにも行き場がない私も一緒に、旅へ同行させていただいている次第です。
なんとか身を守る固有技と、治癒回復に秀でていたのと、薬師としての知識や経験が役に立ちました。
このまま何事もなければ、生きていくことはできそうです。
必ずそちらへ帰る術を見つけますので、気長にお待ちくださるとありがたいです。
どうか、くれぐれも無理や無茶はなされず、体をご自愛くださいませ。
それでは、また。
追伸
どうやら事の原因は、こちらに実在する龍神様がうっかり作ってしまった歪みのせいのようなので、きっちり責任を果たしてもらいたいと思います。
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「さあ、白龍くん。この手紙を、あちらの謙信様のもとへ届けてください」
「え…その……ばさら、力が足りないよ。ごめんなさい」
「いいえ。ここ最近の封印のおかげで、少しは溜まってきている筈です」
「でも…」