第14章 遙か3な世界へ・弍(薬師視点・八葉・白黒神子・白龍)
「でも確かに、無理はしちゃいけないからね〜?ばさらさん」
「はい。わかりました、景時さん」
私は、あなたのむき出しのお腹が無理をしているのではないかと、常々心配しておりますよ。
今度、腹巻きでも差し上げましょうか?洗濯好きな軍奉行さま。
「ばさら殿、疲れているところを申し訳ないが…邸へ着いたら、馬の傷なども癒してもらえないだろうか?思った以上に怪我が多いようで」
「ええ、わかりました。任せてください、九郎さん」
ついでに、あなたの怪我も治しましょうかね。
いくらなんでも、顔の傷は見過ごせません。
美形の自覚がないんですから、ブラコン大将ってば。
「バサラ……休めるときに、しっかり休んでおけ」
「もちろん、リズさんもですよ」
せっかくなので、あなたが休んでいるところを一度くらいは見ておこうと思います。
その立派な二又眉毛、整えたら怒られますかね?望美さん命な、鞍馬天狗どの。
「上杉殿」
「ばさらさん」
「バサラさん」
「上杉さん」
「ばさら」
「ばさら殿」
「姫君」
「ばさらさん」
「ばさら殿」
「バサラ」
順に…敦盛さん、弁慶さん、望美さん、譲さん、白龍くん、朔さん、ヒノエさん、景時さん、九郎さん、リズさん。
一人だけ違う方がおりますが…皆様、私のことを『上杉』もしくは『ばさら』と呼ばれます。
ああ、謙信様。
弁慶さんに問われたとき、ついつい怖さが先立ってしまい『上杉バサラ』などというフザけた偽名を口にしてしまった私への…罰なのでしょうか?
「ひぐっ……!!」
名を呼ばれるたびに、笑いそうになるのを堪える日々です。
△・●・□・○・△
黒いオーラを見せる弁慶さんへ、正直に名乗るのが怖かった薬師さん。
回らない頭で考え口をついて出たのが、まさかの「上杉バサラ」…とっさのネーミングセンスが、見た目は子ども頭脳は大人な某名探偵○ナンくんと同レベル。