第14章 遙か3な世界へ・弍(薬師視点・八葉・白黒神子・白龍)
「ばさらさん。もうすぐ京へ着きますから、今日はゆっくり休んでください」
「そうですか。お気遣いありがとうございます、弁慶さん」
その優しげで素敵な笑顔の向こう側で、いったい何を考えているのか…。
とても気になります、腹黒軍師さま。
「バサラさん。いきなり長い道程を移動したりして、疲れてませんか?」
「大丈夫ですよ、望美さん。山道を長時間歩くなんて、日常茶飯事でしたから」
一時期、体力作りに励んだおかげなのですよ。
麗しくも勇ましい、戦う白龍の神子姫。
悲しいことに、運動神経は向上しませんでしたけど。
「上杉さんは、山の近くに住んでいたんですか?」
「元々は違ったのですけれど…山へはよく散策に行くので慣れたんですよ、譲さん」
慣れるまでずっと、筋肉痛がお友達でしたよ。
料理上手で、幼なじみの望美さん激ラヴ高校生くん。
元は同じく現代人なのに、この根本的な能力の差はなんなのでしょうか?
「ばさらは、不思議な感じがするね」
「白龍くんも、不思議な感じでいっぱいですね」
なにしろ存在自体が不思議のカタマリですものね、龍神様ってば。
そして、なんら関連性のない会話ですね。
「あら。意外にたくましいのね、ばさら殿」
「お褒めにあずかり光栄ですよ、朔さん」
あなたの方こそ、儚げな外見を裏切るたくましさに思わず惚れてしまいそうですよ。
可憐な黒龍の神子であり、伴侶…でしたよね。
「ふふ、本当に大丈夫なのかい?辛かったらいつでもオレに言いなよ、姫君」
「本当に大丈夫ですから。ご心配なく、ヒノエさん」
つらいと口にした途端、横抱きもしくは背中にのせてくれそうですよね、皆さんの前で。
そんな羞恥プレイは、まだまだ遠慮しておきます…熊野の若き頭領。