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【戦国BASARA】薬師シリーズ【その他MIX】

第13章 遙か3な世界へ・壱(薬師視点・敦盛・望美)


「暗い、暗い、暗い…転びそうですよ、なんなんですかコレ」


ブツブツ言いながら、少しでも広い場所を求めて歩いているうちに。

ようやく少しだけ、目が暗闇に慣れてきた。

天気が良くて本当によかった。

月明かりに感謝ですね。


「のぉおっと!……はぁ、危ない危ない」


ちょっと油断してよそ見をしたところで、顔面を木にぶつけそうになりました。

油断は禁物ですねぇ…なんて、しみじみ思ったとき。

ふと、覚えのあるニオイに気づいた。


「これは…」


謙信様のそばで。

薬師の仕事のときに。

幾度となく嗅いできた…血のニオイ。


「こんなところで戦があるなんて情報はなかったし…賊か、獣か」


ああ、でも…ここが何処だかわからないんでした。

辺りを警戒しながら血の臭いが濃い方へと、ゆっくり足を進めていく。

すると。


「……人、ですか?」


深い茂みの中。

埋もれるようにして倒れている、ひとつの人影らしき存在を発見。

近づいてみると、まだ若い………女の子?

男物の…それもかなり良い着物を着ているけれど、性別が判断しにくい美人さん。


「酷い怪我………でも、命の危険はなさそうですね」


呼吸を確認したり、脈を測ったり、傷の具合などを調べてみたりしているうちに。

性別が男であることがわかりました。

私好みの儚げ美少年です。

それにしても、おそらくまだ十代半ばであろうこの少年。

どこかで、見たことがある気がしてならないんですよねぇ…。

おまけに。


「この鎖はいったい……捕らわれた敵将か何かで、移動中に逃亡を図った…とか?」


首と両腕につけられた、頑丈で重そうな鎖。

何かが引っかかる。

思考の渦に入り込みかけ、慌てて頭を勢いよく振った。

ちょっと勢いがよすぎてクラクラしたけれど、まぁ気にしない、気にしない。

それよりなにより、まずは怪我の治療をしなければ。
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