第13章 遙か3な世界へ・壱(薬師視点・敦盛・望美)
「あれ?迷いましたかねぇ…」
いつものように薬草採取をしながら、慣れた山を散策していた筈が……。
見渡す限り、見知らぬ木、見知らぬ木、見知らぬ木、見知らぬ道。
むしろ、見知らぬ山?
「おかしいですね。たしか私は、春日山へ来ていたと思ったのですが」
ここはいったい、どこなのでしょうか?
ああ、今日は謙信様と一緒に夕餉をとる約束をしていたというのに。
遅れでもしたら謙信様に申し訳ない、そして……かすが嬢が、かすが嬢が恐ろしい。
絶対に毒を盛られます。そして夜襲、の二段構えですよ。きっと。
というか―――。
「もしかして…今って夜ですかね、すでに」
………あ、れ?
さっきまで昼だったのに、太陽の光が木々の隙間から眩しく射し込んでいたのに。
いつの間にやら辺りが真っ暗なんですけれど、どういう超常現象ですか。
それとも幻覚?
どこかの忍にでも担がれているんでしょうか?
あー、もうそれでお願いします。
それだったら、かすが嬢に良い言い訳ができますから!