第8章 酒は飲んでも呑まれるな(薬師視点・政宗・謙信・小十郎・かすが
「政宗様の方こそ、それまでに死ぬようであれば」
お願いですから。
「大笑いしてやりますからね」
誰にも、私にも。
悲しい涙を、流させないでくださいね。
「それは冗談じゃねぇな…肝に命じておく」
「そうしてください」
酒の匂いに包まれながら、場違いにも朗らかな笑みを浮かべあった。
「しかし…」
「どうかされましたか?」
また急に真面目な顔つきで視線を落とす政宗様に、わずかに首を傾げる。
なにか、ほかに問題でも?
「夢姫、アンタ……出逢ったときから、成長してねぇな」
「はい?」
なんのことですか?身長なら、少しは伸びたと思うのですが。
中身のことならば、まぁあまり成長したとは言えないかもしれませんね。
「普通はもっとこう、育つもんだろう」
低い呟きとともに、なにかを確認するかのように。
さっきまで私の鼓動を政宗様に伝えていた、大きな手が動いた。
って、なにするんですか!成長って、そういう意味ですか!?
ベシッと遠慮も何もなしに政宗様の手を叩き落とす。
「仮にも女性に向かって、そういうことを言うのはよくないと思います!」
「Ah-…悪い、気にしてたのか。それは失礼した」
「そりゃ気にはなりますよっ、失礼すぎます!」
「まぁ、落ち着けよ。女の魅力はそれだけじゃねぇんだ」
「確認したあなたがソレ言いますか!…謙信様にも、触れられたことなかったのに…」