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【戦国BASARA】薬師シリーズ【その他MIX】

第35章 事故チューその後・弐(薬師視点・かすが)


いつもながら鋭い視線ですね。

それだけで射殺されそうです。



「あ、すみません、つい……」



とても美しかったものだから、見惚れてしまいました。



「……いえ、なんでもありません」



素直にそのままを言ったらまた怒られそうな気がしたので、空気を読んで言葉を飲み込んでみたら。

かすが嬢の眉間には、深い深いシワがひとつ。

さっき感じた、柔らかな雰囲気は微塵もない。

あれ?なんで……?



「謙信様には『 ただの衝突事故が、大げさに噂されていただけ 』だと、お伝えしておく」

「ついでに……『 お騒がせして申し訳ありません 』とも、お願いします」

「わかった。では、私はもう行く」

「はい」



立ち上がり、背を向けたかすが嬢を見送ろうと思ったのだが。

何故か、彼女は彫像のようにピタッと動きを止めたまま。

時間が経つこと数秒。



「…………おい」

「はい?ってわっ!?」



声を掛けられると同時に、ふわりと飛んできた白い布。



「口の端に、血が固まっている」

「え……」



ああ、騒いだので傷口がひらいたようですね。

意識したとたん。

小さくズキズキと、うずく。

…………地味に痛い。



「きちんと洗って、きれいに拭いておけ」

「えと、コレ……使っていいんですか?」



小さめの手拭い?ですかね。

きれいな刺繍が入っている。

薬草の。

それから「夢姫」と、私の名前。

……もしかしてコレ、私の為にかすが嬢が作ってくれたんでしょうか。

とても想像しにくい光景だけれど。
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