第31章 IF遙か3~復活~戯言編4(薬師視点・人識・双識(仮))
とくに今は人識くんの側にいるので、零崎寄りだと見なされて敵判定なんてされでもしたら堪りません。
命大事に。これ一番です。
「勿論わかっているとも、これからもうちの弟をよろしく頼むよ。まだまだ子供だが、どうか末永く仲良くしてやってほしい」
「善処します」
さすがに確約はできかねるので曖昧さが素敵な日本語で答えてみたら、ちょっと困ったように笑われて心臓がきゅっとなる。
おや、不整脈ですかね?…………ああもう、その優しいお兄さん風な笑顔は卑怯ですよっ。
ちょっと素敵かもしれない、なんて誤った認識をしてしまうじゃないですか。
「ははは、人識くんの春はまだまだ先のようだね」
「本人にその気があれば、そう遠くはないかと思いますよ」
ちょっと小柄ですけど、顔立ちだけなら女性受けのする可愛い顔をしてますし。
ただ、一瞬で春が終わってしまう可能性は否めませんが。
色々と物騒ですので、ええ、世の中なにかとね。
「そうなのかい?なら、きみが私の妹になる未来もあるということか」
「くふふ、それは素敵な冗談ですねぇ」
まさか双識さん(仮)がそんな冗談を言うとは…………冗談、ですよね?笑みに細められた目の奥がギラッと光った気がしたのは、きっと気のせいですよね。
そんな恐ろしい未来予想図ごめんです、仮にでも零崎の家族構成に私を加えるのはやめてください全力で遠慮させて頂きます。
ま、まぁ、人識くんがそんな気になるわけありませんよね!他の家族の方々が認める筈もないですよね!うん、よかった未来は安泰だ。
「まだ居るのかよ、兄貴。用事とやらは一体全体どうなったんだ?」
噂をすれば影、とは少し違うけれど。
個人的に冷や汗が流れそうな会話を空気を壊してくれたのは、腕を組んで壁にもたれている人識くんの呆れたような声で。
「ああ、これはいけない。私としたことが、楽しさのあまりつい話し込んでしまったよ」
「人識くん、ロールケーキは…」
「俺の腹ん中」
「そうですか」
一人で一本まるごと食べちゃったんですか?いくら基礎代謝がいいからといって、糖分過剰摂取にも程がありますよ。
このままでは春がくる前に、糖尿病患者まっしぐらな未来がお迎えに来てしまいそうです。