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【ハイキュー!!】Assorted Box 短編集

第12章 ファインダーの向こう側〜気付きの物語〜(及川 徹)


「ねぇ…それ見せてよ。」

今日は天気もいいから外でお弁当を食べようって松つん達に誘われて来た屋上で、空に向かってカメラを覗く皐月さんを見つけた。

先に食べてて。と皆に言い残してから皐月さんに近付き声を掛ける。

途中、囃し立ててくるマッキーと松つんに、ちょっと黙って!って伝えるのも忘れない。

だって…別に好きとか…そんなんじゃないから。

「きゃ…って、及川先輩。急に後ろから声掛けないで下さいよ…。それって…?」

カメラから顔を話した皐月さんは相変わらず素っ気ない態度でこちらを見た。

他の女の子なら、及川さんに声を掛けられたら大喜びなのに…なんでちょっと迷惑そうなんだよ…。

「それ。今撮ってた写真。」

皐月さんの手元のカメラを指差せば、彼女も視線をカメラに落とした。

「あー、でも普通の写真ですよ?」

「あのね…俺、皐月さんの写真のファンだって言ってるじゃん。本当にプロのカメラマンになるなら、ファン1号は大切にした方がいいよ。」

あんなに素敵な写真を撮る癖に、いつも自信なさそうな皐月さんにイラっとして少しキツい言い方になってしまった。

これじゃ、ウザい先輩まっしぐらだ…。

「あの…でも、お見せするにはパソコンがないと…。及川先輩、放課後は部活ですよね?」

皐月さんは困ったような顔をしながらそう言った。

「ちょうど今日の部活はOFFなんだよね。放課後、新聞部の部室に行けばいい?」

ニッコリと笑顔で言うと、皐月さんが諦めたような表情で首を縦に振った。

「部室の隣に資料室があるので…そちらへ。」

「やった!じゃあ、放課後にね♫」

ヒラヒラと手を振りながら、皆の所へ戻るとマッキーと松つんがじーっとこちらを見てくる。

「皐月さんなんて興味ないって言ってたの誰だっけ?」

「お前、マジで皐月さんに惚れたの?」

「何でそうなるのさ!?別に皐月さんになんて興味ないよ。」

イヤイヤ…と何か言いたげな2人を差し置いて、今まで黙ってた岩ちゃんが口を開く。

「でも、皐月は迷惑そうだっただろ。あんまりしつこくするな。」

「それじゃ、及川さんがまるで皐月さんを追いかけ回してるみたいじゃん。」

だから、好きじゃないってば!
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