【ハイキュー!!】Assorted Box 短編集
第1章 ★バレンタインデー (月島 蛍)
「これ、和奏の手作り?」
首を縦に振れば、わかりづらくはあるが蛍が顔を綻ばせた。
やっぱり、喜んでくれた。
「蛍は生クリームの方が好きだとは思ったんだけど…、せっかくのバレンタインだしチョコレートクリームにしてみたの。」
頑張って作った苺のチョコレートショートケーキ。
「…食べていいの?」
先程から珍しく素直な蛍に、こちらも素直な気持ちになっていく。
「もちろん。ねぇ…蛍、好きだよ。」
今日はその気持ちを伝えたかったんだ。
「和奏、僕も好きだよ。」
どちらともなく、唇を合わせる。
チュッチュッっと何度も降り注いでくるキスに、蛍がこのまま先に進もうとしている雰囲気を感じる。
「あっ、蛍!ケーキ食べよう!切っちゃうね。」
ちょっと強引だったけど…でも、せっかく作ったケーキだもん。
早く蛍に食べて貰いたい。
私の気持ちが伝わったのか、蛍がソファーに深く座り直した。
1切れづつ目の前のお皿に取り分けても、まだまだ食べきれない量のケーキが残っている。
「美味しい?」
「うん。チョコレートも思ったほど悪くはないよ。」
あっ、もう素直モードは終わりなのか。
ちょっと残念に思いながらも、蛍流の褒め言葉をありがたく受け止める。
「ねぇ、残りは和奏と一緒に食べたいんだけど。」
ん…?
「私、もう食べてるけど…?」
「そう言う意味じゃないよ。」
え?
答えが思い付く前に蛍に組み敷かれる。
悪い顔で笑ってる蛍に、嫌な予感しかしない。