【ハイキュー!!】Assorted Box 短編集
第6章 彼女の自信〜帰り道で〜 (月島 蛍)
それからは毎日呆れられっぱなしだ。
でも、月島君が何に呆れているのかは、わからない。
それくらい私は付き合う事で起こる目の前の変化について行く事に手一杯で…月島君の機嫌を治す方法なんて考える暇もない。
今だって…もうすっかり定着した呆れ顔で月島君が私の進路を塞ぐように立っていた。
「えっと…月島君、どうしたの?」
「ねぇ、和奏は僕の名前知ってる?」
なんで…月島君はこんな当たり前の事を聞いてくるんだろう。
「当たり前だよ。月島蛍君でしょ?」
私の答えを聞くなり、ため息を一つ残して去って行く。
本当に…どうしたら月島君に呆れられないのか、わからない。
今のだって、なんて答えたら良かったのだろう。
想いが通じ合った時の月島君は…少しテレた様子で、それでも満足げに笑っていた。
あの顔がもう一度見たいのに。
私は残念な顔をさせてばっかりだ。
月島君は「僕が彼氏だと不満なの?」と私に聞いたけど、私にいつも不満そうにしているのは月島君だ。
彼女として隣に並ぶより、少し離れて勝手に見ている方が楽しかった。
月島君に嫌われないように、いちいちビクビクしている自分にイライラする。
気を付けているのに、月島君が呆れるような事しか出来ない自分にイライラする。
どう考えたって、私は月島君の彼女に相応しくない。