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【ハイキュー!!】Assorted Box 短編集

第6章 彼女の自信〜帰り道で〜 (月島 蛍)


月島君はいつも呆れている。
たぶん、私がトロいせいだ。

つい先日両想いだという事がわかった時の少しテレた月島君は新鮮だった。
こんな幸せな事があっていいのかと、何度も自分のほっぺたをつねった。

でも、その翌日から呆れられ放題だ。

その日は朝練に行くため、いつも通りの時間に家を出ると、家の前に月島君が立っていた。
そんな事全く予測して無かったから、挨拶も出来ずにただ立ち尽くす私に、月島君は呆れた顔をしていた。

「遅いんだけど。朝練遅刻したらどうするのさ?」

朝練はまだ余裕のある時間だけど…。
そうじゃなくて…。

「え?なんで月島君がいるの?」

「は?本気で言ってるの?彼氏が出来たら一緒に登下校したいって言ってたのは君だよね。」

えっと…確かに結構前にそんな事を言って、月島君に失笑された記憶がある。
それより…。

「え…彼氏って…?」

月島君の眉間のシワが濃くなる。

「ねぇ…昨日のことも思い出せない程、残念な頭してるの?」

声のトーンもさっきより更に低い。
怒らせてしまったのだろうか。

「昨日って…私が月島君を好きだって…言って、月島君も…その…。」

月島君の機嫌をこれ以上損ねない答えを探していると、しどろもどろになってしまう。

昨日の事だって…私の夢じゃないか半信半疑だ。

「そこまで覚えてるなら…何?朝早過ぎて寝惚けてるとか?」

「そうじゃなくて…、もしかして私達、付き合ってるの?」

うわ…。
月島君の顔から表情が消えた。

「両想いって確認したんだから、付き合ってるに決まってるでしょ?それとも僕が彼氏だと不満なの?」

「いや…不満なんて…恐れ多いくらいだよ。」

むしろ、月島君は私なんかが彼女で嫌ではないのだろうか。
実際に先程からずっと不機嫌だし…。

「はー。こんなところで、のんびり立ち話してたら本当に遅刻するから行くよ、和奏。」

「え…な…名前。」

今までは皐月さんと呼ばれたと記憶している。

「なに?嫌なの?」

「嫌じゃない…です。」

月島君の一言ごとに心臓がジェットコースターのように跳ね上がったり、落ちたりする。
付き合うってこんなに心臓に悪い事だったんだと思い知らされた朝だった。
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