【ハイキュー!!】Assorted Box 短編集
第3章 プロポーズの前に (孤爪 研磨)
「なんか…孤爪君と2人で会うのとか…あれ?初めて?」
呼び出し場所に現れた皐月。
あの頃は似合ってないと言い続けた化粧が、今では彼女の魅力を引き立てていた。
「そう。初めて。」
「いつも鉄朗と3人だもんね。」
そう。クロはあぁ見えて結構なヤキモチ妬きだから。
例えオレに脈が無いってわかってたって、2人っきりで会う事を許すはずないんだ。
3人で遊んでる時、クロはどんな気持ちだったんだろう。
勝負しないくせに、諦めもしないオレが隣に居るのは…きっと嫌だっただろうな。
今日は本当に特別。
オレの長い長い片想いが終わる日だから。
「今日はクロが居たら困る用事なんだ。」
「なになに?一緒に鉄朗にイタズラ仕掛けるとか!?」
ニコニコと嬉しそうに笑う皐月。
あの頃、皐月はクロの事を「黒尾先輩」って呼んでて…「鉄朗」って呼ぶようになって何年くらい経ったかな?
オレ達は相変わらず「皐月」と「孤爪君」のまんまで…きっとこれから何年経ってもこのまま。
まぁ、全部自分の責任だけどね。
オレが負け試合が嫌で逃げ回ってたから。
オレが気持ちを伝えたら、皐月はどんな顔をするだろう。
彼氏の幼馴染から告白されるなんて…自分に置き換えて考えると迷惑以外の何物でもない。
少しおかしくなって、笑ってしまう。