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まだまだ青い白鳥たち

第10章 リードブロックとゲスブロック


「なんか久し振りだねぇ、一緒に帰るの」


バス停に向かう道を歩きながら、天童くんがポツリと言った。それは私の提案で一緒に帰らなくなったから。なんて返したらいいのか分からなくなっていると、


「なつみちゃんさ、まだ時間へーき?そこの公園でジュース飲んでかない?俺のど乾いちゃった」


そう言うと私の手をサッと取って指を絡めた。公園の入り口階段を二人でのんびり登っていく。暑いせいなのか緊張のせいなのか手のひらの汗が止まらない。恥ずかしくなって手を離そうとしたんだけど


「…大丈夫だから」


ニッといつも通りに笑ってくれる天童くん。こういう些細なことにすぐ反応してくれるのは本当に凄いと思う。読みが鋭いというか…流石ミドルブロッカーというか…


「何飲むー?俺はアイスココア飲もっと」


スラッと長い脚で制服のパンツを履きこなした彼が、そのポケットから財布を取り出して自販機に小銭を入れる。


「なつみちゃん決めたー?」
「…私はアイスティーにする」
「ん」


自販機の下から二つの缶を取り出して、私にアイスティーを渡してくれた。


「ありがと」
「どういたしまして」


そこ座ろーという彼に連れられて、側にあったベンチに座る。私からすべて切り出そうとしていたから、こういう場を作ってくれた天童くんには本当に感謝しかない。


「鍛治くん、今日もキツくてさぁ。もう足ガタガタ」
「ふふ、そうなんだ。お疲れさま」


いつも通りの平和な会話に忘れそうになってしまった。いつまでも雑談しているわけにはいかない。私の目的をちゃんと言わなければ。


「あの、天童くん」
「…なつみちゃんさ、ブロック苦手でショ」


話を切り出した瞬間、別の話題で遮られてしまった。いや、わざと被せたのかな…


「…うん、苦手…かな」
「苦手ならさ、リードブロックしなきゃ」
「え……?」


天童くんはアイスココアを一口飲んで遠くにある噴水を見つめていた。この公園は街灯が少なくて、薄暗い今の時間だと表情がよく見えない。


「なつみちゃんが若利クンから逃げたのはさ、ゲスブロックなんだよ。こうなるかもって思い込みで動いたデショ」
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