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まだまだ青い白鳥たち

第6章 奪ってもいいか


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「「ナイサ――――!!!」」


合宿2日目。合宿専用の強化メニューが始まった。まさかの100本サーブから始まり、的に当たらないとペナルティも用意されている。普段は練習に加えて雑用もあるんだけど、今回は高岡さんや成田さんがいる為、練習に集中できた。マネージャーってありがたいな。


「なつみ――――!!ちょっといい?」


チームメイトに呼ばれ、ネットの向こう側に向かう。


「さっき先輩に頼まれたんだけど、この体育館裏の小山をちょっと上った先に用具倉庫があるんだって。そこから得点板を追加で持ってきて欲しいんだけど、私これから先輩にトスあげなきゃいけなくて…」
「うん、いいよ。私が持ってくるから大丈夫。気にしないで」
「ごめんね。さっきリカコに頼もうとしたら見当たらなくてさ」


…リカコは雑用が苦手だからうまく逃げたに違いない。仕方ないから私は外履き用のサンダルに履き替えて外に出た。こんな山奥でもさすがに昼間は暑い。さっきまでジャンプサーブを打っていたから尚更。


チームメイトの説明通り、ちょっとした小山…というより丘のような坂道を上がると用具倉庫が見えた。古くはないけれど、さすが合宿所の用具倉庫といった感じで普段は使われていない雰囲気が出ている。


扉の前まで行ってドアに手をかけると鍵はかかっていなかった。少し重たいドアを開けると中は真っ暗。ひんやりとした空気が漂っている。


「ええと…得点板、得点板…」


手前には得点板が見付からず、奥のほうまで行ってみると後ろからいきなりガチャンっと音がした。





「………緑川…か?」





ドアを開けて入ってきたのは…牛島だった。


「あ、牛島」
「…お前も得点板を探しているのか?」
「うん、牛島も…?」


牛島は私の問いには答えずに、奥のほうまであっという間に距離を詰めてきた。


「…汗、前髪が濡れているぞ」
「え、あ…」


急におでこの汗を指で拭ってきたから心臓が止まりそうになった。牛島ってこんなことする奴だったっけ。
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