第4章 利害
「あ~~~!チョコ味いっぱいあるじゃん!超迷うね、俺どれにしよ~~!」
…アイスクリーム屋に着いた途端、天童くんは悶えだした。確かにチョコ味のモノが多い。フルーツ系、コッテリ系…。天童くんでなくともこれは迷う。
「二人ともまだ決まんないの?…すみませーん、私はチョコミントとパイナップルのダブルで」
未だに迷っている私と天童くんを差し置いてリカコはさっさと注文しに行ってしまった。
「…なつみちゃん俺のも選んで。俺決められそうもない…」
なんとも死にそうな勢いでお願いしてくる天童くん。しょうがない。私もまだ決まってないし。
「じゃあ、天童くんはこのチョコブラウニー入りのにして。私はチョコチップにするから、ちょっと交換して食べようよ」
「なつみちゃん天才」
なんとか注文を終えてレジに向かう。すると天童くんは後ろから私の肩を軽く引っ張って、
「いいよ、今日は俺のおごり」
いつものニマーっとした笑顔でそう言ってくれた。申し訳ないからと財布を慌てて出し、天童くんに小銭を渡そうとする。
「いいんだって。諸越ちゃんにも奢ってるし」
「…リカコ、いつの間に」
既に席に座っているリカコはアイスを口いっぱいに頬張って美味しそうに食べている。天童くんがお金を払ったアイスクリーム…。
「でさ、天童の話ってなんなの?」
私と天童くんもカップに盛り付けられたアイスクリームを受け取り、リカコの取っていたテーブル席に座った。…リカコのカップにはもう半分もアイスは残っていなかった。
「…あー、うん。あんまり学校の中でも部活中でも言いにくいことだったからサ」
「で、何よ?」
「なつみちゃんさ、俺と付き合わない?」
「「…はっ!!!??」」
思わずリカコとシンクロして声をあげてしまった。付き合う?天童くんと?真剣な告白だったらこんな場所でも言うべきじゃないのでは…
「ヒドイなぁ。俺、結構真剣に考えたんだケド」
「バカ天童!真剣なら二人っきりのとこで言えっての!」
…リカコの言うことはごもっともだ。なんでリカコにも聞いて欲しいなんて天童くんは言ったんだろう。