第3章 一夜が明けて
「へ?誰のこと…」
「あ、何あの薬草!!すっごい綺麗!!ガラスみたいー!」
白澤さんがなにか言った気もするけど、その時の私には聞こえず、薬草を取ろうと手を伸ばした。手当て用の椅子に座ったまま取ろうとしたら、思いのほか遠くてなかなか届かない。
「わぁっ」
バランスがくずれて、椅子が傾く。
「ちょっと!!ひいろちゃん!!」
ガシャン!
「……大丈夫?」
私に覆いかぶさる白澤さん。
「!白澤さん!すみません!大丈夫ですか?!」
あぁ、めちゃくちゃ見慣れた風景……。何度目?これ。
「いや、僕はいいんだけど……。最近、ひいろちゃんのバランス感覚が心配だよ」
「あはは……。」
苦笑い。こんなに密着していても余裕があるのは、相手が白澤さんっていう神獣だからこそ。