第3章 一夜が明けて
「もう……。ひいろちゃんは相変わらずだなぁ」
白澤さんの呆れたような声がして、体がふわっと持ち上がる。……これ、お姫様抱っこ!!?
「ちょっ!白澤さん!!大げさですってば!!降ろしてーー!」
それっぽくはないけど、白澤さんは神獣なのだ。畏れ多い。
「ハイハイ。ひいろちゃんは恥ずかしがり屋さんだなぁ」
ふざけた調子で、軽々と私を持ち運ぶ。この人、非力なイメージあるんだけどなぁ。
とりあえず私のせいで腕が折れたら大変なので、お店に入ってすぐ降ろしてもらう。
「手当てとかホントいいですってば~。擦りむいたレベルですし」
「いやいや。足に跡ついたらどうするのー!」
跡ぐらいいいんだけどな。さすが白澤さん、女の子には優しい。