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儚い君へ

第2章 桜の木の下で


「君、こんな夜に女の子1人なんて物騒じゃない?」

背後から声をかけられ、そっと後ろを向く

そこには、浅葱色の羽織を着た…武士…?

いや、違う。この羽織どこかで…

そうだ…あれだ

「新選組…」

思わず声に出してしまい慌てて口を塞ぐ

「しんせん、ぐみ…?なにそれ。君、大丈夫?」

えっ

彼は新選組の隊員じゃないの?

わたしの記憶違いかな…?まさか、ね。

ん?ちょっとまって。なんでこの人はこんな昔みたいな服装なの?

なにかの撮影??いやいや、ありえない

カメラもないし…

「ねえ、君。怪しいね…なに?その身なり…」

え、そんなに珍しい服かな…?制服なんだけどな…

「あの、これ一般的な服装じゃ…」

彼はキョトンっと目を丸ませた

「もしかして、異国の人間?」

彼の穏やかな目は急に鋭くなり

わたしを睨みつけた

「異国!?まさか!わたしは日本人です!」

「ふーん。まぁいいけど」

彼は鼻で笑い腰に手を当てた

小さな音だったけど、たしかに金属が触れ合う音がした

「異国じゃなかろうとなんだろうと…怪しい奴は、殺るしかないよね」

彼はニヤリと笑い、刀を振り上げた

あっ、金属が触れ合う音は刀だったんだ…

そう思ってた時には目の前に刀が振りかざされていた

あ、わたし死ぬ。そう悟った


___そのとき

「……やっぱりやめた」

彼は、刀を鞘にしまいこんだ

「え、殺さないんですか!?え!?」

意外すぎる展開にかなり驚いた

「なに。もしかして君、殺してもらいたかったの?」

嬉しそうに笑う彼を見て、黙り込んだ

いったいなんで殺すのをやめたんだろう

「にしても君、なんでそんな怪しい身なりをしてるわけ?」

あっ…そうだ忘れてた

「わたし修学旅行に来てて、この桜の幹の近くで寝てたら夜で…それから…それ、から…?」

まって、おかしくない?

この人は、わたしの服装を見て”異国”って言った…朝見た時は

古びていた町並みも今では新しいし、なかったはずの建物や木だってある…まさかとは思うけど…


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