第1章 平凡な生活
「こうして話すのは初めてかな。改めて、浮竹十四郎だ。よろしくな。鎖深月。」
若干小さいが、隊長の風格を伺える真の通った声だ。
私は外していた視線を浮竹隊長に移し、口を動かした。
「はい。」
長い言葉はいらないだろう。
私は一言の返事で終わらせた。
早く用件を聞きたい。
何時までもニコニコと笑っている隊長にイライラした。
「狐珀ちゃんはさ、どうして呼ばれたかわかる?」
浮竹隊長を写していた目を、京楽隊長に向ける。
彼も浮竹隊長同様にニコニコと笑っている。
「いえ。」
呼ばれた理由を知っているなら、私は更にイライラしているだろうが、生憎わからない。
それもそれでイライラしているのだけど。
「あのな鎖深月。総隊長がお前に話があるそう何だ。」
浮竹隊長の口から発せられたのはそんな言葉で。
此処のトップが下っ端に何の用だと、少しだが眉間に皺を寄せた。
それに気づいたのか苦笑する隊長2人。
それからは何も話すことはなく、再び沈黙を迎えた。
総隊長から呼び出される意味がわからない。
頭の中で考えてみるも結局は答えに辿り着かなかった。
そうこうしている内に浮竹隊長と京楽隊長の元に、地獄蝶が届き、隊主会の知らせを受けている。
当然と言うように私も連れて行かれるようだ。
あぁ、厄日だ。