第3章 第三章 光と影
昼時。
私は、いつも来ている定食屋に来ている。
「狐は....弥那月隊長!!」
店の奥へ案内され、メニューを見ていると店の前で手を振る朽木副隊長の姿が見えた。
お店の人に頼み、朽木副隊長とその他の方を呼ぶ。
「狐は....弥那月隊長はここに来ているのだ....いるんですね。」
「....普通にしてください、朽木副隊長。」
「しかし....隊長だからな....。」
「....私が言ったのですから。」
長い時間タメ口でいたのだ。
突然敬語になれと言われても、無理な話だ。
特に、朽木副隊長に関しては。
「そうか。」
それからは、いつも通りに話をしてくれたが、今日はいつもに増してキラキラしている。
何かいい事があったようだ。
それを聞こうとは思わないが。
いい事があったなら、それでいい。
「....阿散井副隊長は何にしますか。」
「え、俺っすか!!....オススメで。」
突然話しかけた私に驚いた様子の阿散井副隊長。
朽木隊長の前とは、掛け離れた雰囲気に私は少々驚いた。
「....檜佐木副隊長は。」
「....俺もオススメでいいっす。」
名前を知っていたからなのか、少し戸惑いを見せる檜佐木副隊長。
「はじめまして、弥那月狐珀です。」
「あ、檜佐木修兵です。」
朽木副隊長が店員に注文をしている間、私たちは自己紹介をする。
頬に刻まれた『69』の文字。
首と腕にしている、鎖状の鬼道系爆発物。
特に彼の鋭い目が印象的だ。
「狐珀。これからどうするのだ。」
それぞれが頼んだ定食が運ばれ、食べ始めるとすぐにそんな言葉を聞いた。
急な問いかけに、一旦箸を置く。
「....なにも。ただ私は、運命に身を任せるだけです。」
「運命か。」
「はい。」
それからは、静かに箸をすすめる。
もし、もし。
私が独りだとしても。
私に味方がいないとしても。
私自身が周りを拒絶しても。
自分を護るために偽りの顔をしているとしても。
私は...時に身を置くだろう。
足掻かず、静かに時が過ぎるのを待つだろう。
私が終わる時は、全てが終わる時だ。