第3章 第三章 光と影
お茶を頂いて、すぐに退散するつもりだった。
長いことココにいても、彼らの仕事は進まないと。
しかし、彼女はなんだ。
「それでですよー、って聞いてます?弥那月隊長。」
「すいません。聞いていませんでした。」
「んーもう!!ちゃんと聞いてくださいよ~。」
先ほどから飽きずに、一方的な話をしている。
手振り身振りで表現し、怒ったり笑ったり...忙しい人だ。
私が帰ろうと席を立つと、行かせまいと彼女も立つ。
日番谷隊長に助けを求めたが、早々に諦めろと目で伝えられた。
だが、次の挨拶にも行かなければならない。
明日までの延長とは、中々嫌なものだ。
出来れば今日で終わらせたい。
「松本副隊長。」
「はーい?」
「仕事がありますので、また来ます。」
「えぇ!!まだいいじゃないですかー。」
「...松本!お前は仕事をしろ!!」
日番谷隊長の言葉でも、未だグズっている今の彼女は子供のようだ。
買ってほしい玩具を買ってくれない時の子供。
「今度、甘味屋に行きましょうか。」
「え...?」
「落ち着いたら時間があります。その時にいかがですか?」
「行きます!!やったーー!!」
だから、扱いが簡単だ。
ほら、今だって....。
「では、私はこれで。」
「あぁ、悪かったな、弥那月。」
「いいえ。」
隊舎を出て、空を見上げる。
いつもの青い空は、厚い雲で見えない。
今日は、雪が振りそうだ。