第2章 番号を背負わない隊長
瀞霊廷の外れにある住居。
周りを木に囲まれた平地に立っている。
「裏鬼道(りきどう)第十条 溟蝶結界(めいちょうけっかい) 解除。」
私の家を中心に、小さな林を囲む結界を消せば景色が変わる。
立派な門の奥に広がる大きな庭。
石畳を行けばそこはまるで別世界。
最初に見えるのは龍紋が彫られた扉。
それを潜ると辿り着く屋敷。。
四大貴族に劣らぬそれが、私の家だ。
この屋敷に暮らすのは、私と私の創る式神だけ。
夜になれば式神も居なくなり、実質的には私一人になる。
『お帰りなさいませ。狐珀様。』
「....ただいま。」
白い肌に紅い唇、黒髪を垂らした美人は微笑みながら私に頭を下げる。
彼女、瑠衣とは十年の付き合いだ。
『隊長昇進、おめでとうございます。』
「あぁ、ありがとう。」
『これから、忙しくなりますね。』
「....そうでもない。」
隊長羽織を受け取った瑠衣は、それを嬉しそうに見る。
まるで自分が昇進したように。
「明日、早くに起こしてくれないか。」
『えぇ、かしこまりました。』
自室に入る私におやすみなさいませ、と言うとスウッと姿を消した。
私は死覇装と斬魄刀を机の上に置き、布団の上に倒れる。
大きく息を吐けば、胸がスッキリとした。
さて、明日はどうなるのやら。