第2章 番号を背負わない隊長
大きな門構えのその前。
外は薄暗くなったばかりで隊舎にはまだ光が灯る。
その光をジッと見ていると、ガラガラと七番隊の扉が開き向こうからサングラスの人が姿を現した。
「どうぞ。」
少し訛りがある言葉遣いだがそれでも丁寧に促す彼は、七番隊の副隊長だ。
ヤクザに似ているから怖いと、いつだか女の子が話しているのを聞いた。
確かに近寄り難い風貌だ。
開きっぱなしの扉を後ろ手で閉めて、彼の後を歩いた。
「お主が鎖深月狐珀だな。儂は狛村左陣と申す。彼は副隊長の射場鉄左衛門だ。」
「鎖深月狐珀です。」
「容姿は幼い子供だが…うむ、実力は確かなようだな。」
「ありがとうございます。」
狛村隊長の瞳が真っ直ぐ私を射抜く。
綺麗な目だ。