第2章 番号を背負わない隊長
次は五番隊だが、自己紹介はしてある。
行くのも面倒だと五番隊隊舎を悠然と通り過ぎた。
六番隊隊舎前。
流石隊長が上流貴族当主なだけあり、準備がいい。
隊舎前には先程会った、阿散井副隊長と朽木隊長の姿がある。
朽木隊長と目が合うと彼は何も言わず、隊舎の中に入っていった。
何しに外に出てきたのか。
阿散井副隊長は軽く会釈をして、そのあとを追う。
私はゆったりとした足取りで隊主室に向かった。
扉は開いていた為、ノックはしないが入っていいのだろうか。
重苦しい空気が漂う六番隊隊主室。
他とはこうも違うものなのか。
「何をしている。中に入れ。」
扉の前で突っ立っていると、朽木隊長の声がかかる。
このまま帰ってはダメだろうか。
どうも苦手だ、この人は。
「…鎖深月狐珀です。」
足を一歩入れ、同じ言葉を繰り返す。
あと何度この言葉を言えばいいのだろう。
「朽木白哉だ。」
お互い一言の自己紹介。
副隊長の彼は、地味に苦笑していた。
「それでは失礼します。」
自己紹介が済んだ私はサッサと次に行きたい一心だ。
モタモタしていると、日が暮れてしまう。
「…..........鎖深月隊長。いや、狐珀と呼ぶ。」
その間は何だろうか。
私はなんと呼ばれようが興味がない。
わざわざ呼び止めるなと苛つく気持ちを抑え軽く会釈をした。
無意識に出る溜息を止めることはできない。