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さよならは笑顔で...

第2章 番号を背負わない隊長




同じような道を次は四番隊に向かって歩く。

時々何処かの隊の席官か隊士かと擦れ違うが、その度に道の隅に寄り頭を下げていく。


あぁ、なんて面倒な生き物なんだろうか。


やっている方は良かろうが、こっちは苛つきを通り越して最早呆れる。

はぁ、と数えるのも嫌になった溜息がまた飛び出した。



数分が経ち目の前に四番隊の総合詰め所が見えた。

ゆっくり歩いていた足を早めて若干早足になる。

もう隊舎回りも疲れたのだ。



何かあったのか、総合詰め所の入口は怪我人で溢れ返っている。

四番隊は後回しにしようかと入口の前で考えたが、奥から凛とした雰囲気を漂わせている卯ノ花隊長が姿を現しその考えを消し飛ばした。



「ようこそ、鎖深月隊長。四番隊隊長の卯ノ花烈です。」

おっとりと穏やかなのか、凛とした気迫ある方なのか…この人はよくわからないオーラを持っているようだ。


「鎖深月狐珀です。」

自己紹介をしているそのすぐ横を、担架を持った隊士達が忙しなく行き来する。

本当に何があったのだろうか。


「…あ、隊長!!こんな所にいましたかー。」

卯ノ花隊長の後ろから女性の声が聞こえた。

直ぐに姿を現したのは、四番隊副隊長の…人だ。


「勇音、こちらは鎖深月隊長です。自己紹介なさい。」

まるで彼女の母親のような卯ノ花隊長。

その言葉で私に気づいたのか、彼女は一瞬焦ったようだ。


「こ、虎徹勇音です。」

シャキッと背筋を伸ばし、九十度に腰を曲げる。

なかなか面白い人だ。


「鎖深月狐珀です。」

この一言を言うのも疲れた私。

卯ノ花隊長から凄い視線を感じるが、その全てを無視して踵を返した。



「また、いらしてください。」

もう聞きなれた言葉を聞き、小さく会釈をして四番隊を去る。

はぁ、後幾つ回れば良いのだろうか。


空を見つめて呟いた。



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