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さよならは笑顔で...

第2章 番号を背負わない隊長


大きく『二』と書かれた門の前。

隊士の一人に案内され、隊主室に行く。

隊士が隊主室の扉を叩き、ゆっくりと開けた。

その瞬間風を切る音が聞こえ、顔を右にずらす。

左耳のすぐ横を何かが通り、後ろの木にギシッと刺さった。


「なるほどな。隊長になるだけの事はある。」

クナイが投げられた方向には、怪しげに笑う砕蜂隊長の姿があり、幼い雰囲気を見せない立ち姿だ。


「初めまして。鎖深月狐珀です。」

お互いその場から動かないまま、私は名前を告げた。

すると、奥の方から黒い物体が飛んでくる。

内心舌打ちをし、伸びてきた足を左に動き避けた。

シュタッとその黒い物体が地に足を着き、姿を見せる。



「ほぅ、お主中々やるのー。」

紫の長い髪、小麦色の肌。

確か砕蜂隊長の前にこの役職に着いていた、四楓院夜一だ。

今は現世を中心に活動していると聞いている。


「…戦闘心はないようじゃ。おい砕蜂!茶にしよう。」

どうやら敵意があって攻撃したわけでは無いようだ。


お茶と座布団を用意され、私は砕蜂隊長と四楓院殿の前に腰をおろした。



「...二番隊隊長の砕蜂だ。」

私に目を向け、小さく呟いた。

恥ずかしいようで、その頬は微かに赤い。


「四楓院夜一じゃ。夜一で構わん。」

男気のある人だ。

「では、夜一殿とお呼びさせてもらいます。」

「硬っ苦しいのー。もっと柔らかくせぬかー。」


...愉快な人だ。


「それにしても、突然隊士が隊長になると聞いた時は驚いて毛が逆立ったのー。」

面白そうに笑った夜一殿は胡座をかいた足の上に肘を立て、そこに手を乗せる。


「じゃが、確かに普通の隊士ではないようじゃ。」

それから目を細め私を見据える。


「霊圧は隊士並に抑えておろうが、冷静な判断と攻撃の見極め。あらゆる物がお主を隊士ではないと言っている。...どうして霊圧を抑えるのじゃ。」


なるほど、砕蜂隊長が尊敬している訳もわかる。


ズズっとお茶を飲み、一息ついて腰をあげた。


「もう行くのか?」

この数分で砕蜂隊長にも懐かれたようだ。


「まだ仕事を終えていません。また来ます。」

一言そう告げ、隊主室をあとにした。
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