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さよならは笑顔で...

第2章 番号を背負わない隊長




会場を出ると直ぐに何かに抱きつかれた。

足に力を入れ倒れるのを防ぐ。



「おめでとう!狐珀!!」

それが朽木副隊長である事はもうわかっていた。

バッと顔を上げ抱き着いた状態でニコッと笑う。

そんな副隊長に小さく息を吐き、頭を撫でた。



「おいルキア。狐珀じゃなくて鎖深月隊長だろうが。」

その声が聞こえたとき、頭の中には誰だという言葉。

朽木副隊長が体を声の方に向け、うるさいぞと叫ぶ。

私もそちらへ目を向けた。



赤い髪に額の刺青、腕には六番隊の副官証。

名前は知らないが死神代行の黒崎一護と仲が良いと噂で聞いた彼だ。

朽木副隊長へ向けられていた彼の目が、ゆっくり動き止まった。



「あ、えっと、六番隊副隊長の阿散井恋次です。」

目が合うとは思っていなかったのか、少し焦ったようだが礼儀正しく挨拶をした。

阿散井恋次、中々いない名前だ。



「鎖深月狐珀です。」

私も名前だけを告げ彼から目を離した。

彼の後ろで不安そうな顔をした女の子がいたからだ。

彼女も私と目が合うと、焦ったように慌てて頭を下げた。

変な気分だ。




「朽木副隊長、私はこれで失礼します。」

イライラして来た私は朽木副隊長にそう言うと、会場の門を出た。

出た所で一度止まり、貰ったばかりの日程表に目を通す。


各隊にて自己紹介。

簡潔に書かれた文字を読み、一番隊舎へと足を向けた。



あぁ、面倒だ。



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