第2章 番号を背負わない隊長
白く大きな扉の中から自分の名前が呼ばれる。
同時に拍手も聞こえ、扉が開かれる。
中に入れば人の多さに一瞬驚いた。
第十席までの人数がこれほどとは思わなかったのだ。
なるほど、だから会場が大きいのかと自分の中で納得し、総隊長の前まで足を進める。
幾つもの視線が降り注ぎ、内心苛ついたのは仕方がない。
「鎖深月狐珀。」
「はい。」
総隊長の前まで来ると、再度名前を呼ばれ返事をする。
すると横で控えていた一番隊副隊長に白い羽織を渡された。
「鎖深月狐珀隊長。お主に番号はない。」
受け取ると同時に総隊長の口からそんな言葉が飛び出た。
確かに受け取った羽織に番号は書かれていない。
「お主は、番号を背負わぬ隊長じゃ。これからは護廷十三隊全ての隊の隊長として日々精進せよ。」
強い言葉だと思った。
日々精進せよと言われても、そうする気がない。
極普通の隊士だった私が突然隊長になり、その役目が全ての隊の隊長とは...余りに馬鹿げでいる。
此処で反論しても意味の無い事だと分かっているため、総隊長に深く頭を下げ、小さく溜息をこぼした。
全く、嫌なクリスマスだ。
その後、今後の日程表を渡され解散となった。
なりたくてなった役目ではない。
自分の羽織となったそれを見ながら、深く息を吐いた。